こんにちは!管理人のユキです。
さて、今回取り上げるのは『ヘレディタリー』です。
基本情報
- 原題: Hereditary
- 邦題: ヘレディタリー/継承
- 上映時間: 127分
- 制作年: 2018年
- 制作国: アメリカ
- 監督: アリ・アスター
- レーティング: PG12
- グロ度:注意報(流血)
- エロ度:なし
レーティングからは読み取りにくい、エログロシーンの有無/過激度もお伝えします!
あらすじ
家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。
祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。
最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた…「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスター。
映画.com
正統派ホラー映画です。
小細工なし、物語と演技と演出が三位一体となってヘビー級のパンチを食らわせてくれます。
ホラー映画としてケチをつけるところがほぼなく、目の肥えた方でも楽しめると思います。
ただ、
・ホラー耐性があまり高くない方
・分かりやすいストーリーが好きな方
には向いていないです。
腕(?)に自信のある方は是非、部屋の電気を消してぜひ夜な夜な一人で鑑賞してみてください。
評価
レビューサイトの評価:72点

上記3サイトの評点を平均&100点満点に変換しています。
※RottenTomatoesの批評家スコアを除きます。
※2026/6/21時点の情報です!
私の評価:89点
- ホラー:26/30
- ストーリー:25/30
- 演技・演出:9/10
- キャラクター:7/10
- 独自性:8/10
- 加点:+4
- 減点:なし
感想
ホラー:26/30
怖いです。
音の使い方や強弱のつけ方が上手で、監督の術中にハマりっぱなしだった気がします。
また、主な恐怖の対象がひとつ屋根の下で暮らす「家族」もしくは「家族同士の関係性」にあり、たとえ自分の部屋にいても心が休まることがない、居心地の悪さMaxの作品でした。
ストーリー:25/30
終盤までどういうお話なのかが(私には)分からず、素直に展開を楽しめました。
タイトルの「継承」から、てっきり危険な”スピリチュアル体質”が祖母から母へ継承された話かと思って鑑賞していたのですが、まさかまさか悪魔の王の魂を継承していたとは…
ひょんなことから人間に悪霊・悪魔が憑依して、それをあの手この手で祓っていく、というのがこのジャンルのホラー映画の定石ですが、逆に人間に悪魔を憑依(?)させようという勢力が出てくるとは思わず、こういう捻り方もあるのかと感心しました。
演技・演出:9/10
母(女優:トニー・コレット)の演技が凄まじかったです。
声、表情、佇まい…不気味で、迫力があって、焦りや恐怖や怒りといった感情が痛いほど伝わってくるような演技で、作品の世界にグッと引き込まれました。
演出の面でも、首が飛んだり切られたりと、グロめのシーンもあり満足です。
キャラクター:7/10
母、父、息子。
全員に感情移入できました。
仕事、進学、ただでさえ問題は山積み。
祖母の死をきっかけに、ボタンの掛け違えのように災難が降りかかり状況は壊滅的。
とはいえ家族なので見捨ててどこかへ逃げるわけにもいかず、もうどうしたらいいんだ!と感情がぐちゃぐちゃになりそうです。
父が車内でたまらず号泣するシーンは胸に刺さりました。
独自性:8/10
幽霊が怖いわけでも、人間が怖いわけでもなく、ただ目の前に転がっている「どうしようもない現実」が怖い、そんな作品でした。
ごく普通の家族が徐々に崩壊していき、そこに悪魔崇拝のカルト教団というトンデモ要素が掛け合わされ、繊細さと思い切りのよさが共存するユニークな仕上がりになっていたと思います!
加点(インパクト):+4
チャーリーの首を飛ばしてから母の慟哭をベッド上で聞くまでの一連の流れ。
最高ですね。
芸術的とさえ感じました。
ここだけでもお金を払って鑑賞する価値があるのではと思わされるほど、最高に嫌なシーンでした。
映画 『ヘレディタリー』の魅力
”継承”の意味するもの
ストーリーの項でも少し触れたのですが、この「継承」にまんまとミスリードされたな、という印象です。
あらためて、タイトルが真に意味していたところを整理しておきたいと思います。
- 途中までの私の解釈
- 祖母=ヤバい人
- 母=どうやらヤバい人
- 祖母から母へ”ヤバい”要素が遺伝してて、それが娘の死でエスカレートしていく話か!
…だいぶ浅いですが、それはさておき。
- 最後まで観た私の解釈
- 祖母
- 悪魔の王ペイモンに仕えるカルト教団の一員
- 自身の家族を単なる”器”とみなし、悪魔の魂を注ぎ、時に器を壊してきた
- 母
- この映画の主人公
- 祖母の邪悪な企みに直感的に気づいていたため、子供を産みたくなかった
- 子供を殺そうとすることで(潜在意識的に)祖母の/カルト教団の狙いに対抗しようとしていた
- 夢遊病という病名のせいで、信頼できない語り手として映っていた
- 娘
- 生まれた時からペイモンが宿っていた
#冒頭、母が「あなたは生まれた時から全く泣かなかった」というようなことを言っていたが、それは悪魔が宿っていたことの暗示 - 健康な肉体(息子)に魂を移したい、というカルト教団の思惑によって”事故”死
- 生まれた時からペイモンが宿っていた
- 息子
- 悲劇の鑑賞者
- 最終的には娘→母と経由したであろうペイモンの魂を受け取ることになる
- 祖母
といったところでしょうか。
確かに、葬儀のシーンで儀式の話があったり、怪しげな遺品があったり、カウンセリング集会で寄ってくるオバさんが怪しかったり…見返してみれば「そういうことか」という場面はありましたね。
母の健闘むなしく、ペイモンはこれからも子へ孫へと器を変えて継承されていくのでしょう。
息子の授業中にある生徒が放った以下の言葉が、この作品をよく表しています。
逃れられない運命なら、絶望的な仕組みの中の駒でしかない。
ミニチュアのドールハウスへのズームインから始まるこの映画ですが、その暗示のとおり一家はまさに絶望的なドールハウスのなかの操り人形だったというわけです…
圧倒的なラストスパート
先ほどの項で記したようにストーリーの練度もありつつ、ホラーとしてのパワーもあったのがこの作品の凄いところです。
序盤・中盤も嫌な雰囲気でよかったのですが、ラスト15分ほどのラッシュは圧倒的でした。
父炎上、炎に照らされる母の顔、父の亡骸を前に呆然とする息子の肩越しに映るのは天井にへばりつく母、突然ダッシュする母と逃げ回る息子、屋根裏に逃げ込む息子を追いかけ天井に頭を叩きつけ続ける母、屋根裏に現れる謎の全裸の人々、宙づりになったセルフ首切り母…
あらためて見返してみるともうめちゃくちゃ。
もうネタばらしも済んだし物語のロジックは置いておいてやりたい放題やらせろ!という監督の欲望が解放されたかのようなラストスパートでした。
なんで燃えた?なんで首を切ってる?という疑問はさておき、鑑賞者を怖がらせる、というホラー映画の本質がぎゅっと詰まっており、私は好みでした。
#娘しかり母しかり、ペイモンの魂が肉体から離脱するためには首と胴体との分離が必要だったのか、と書きながら思いました。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました!
映画『ヘレディタリー』について新たな発見があった、もう一回観たい、そう思っていただけたら嬉しいです!
では、また次回の記事でお会いしましょう~~~


コメント
面白かったです。